ベジタリアン情報ページ
ベジタリアンとは?
世界のベジタリアン
1) 各国のベジタリアニズム史
 ベジタリアン文化が成立するかどうかは、その地域の自然環境に大きく依存します。 農作物が育たず、放牧や狩猟以外に十分な食料を得ることの出来ない地域では、当然ながらベジタリアン文化は生まれたり、根付いたりすることはありません。極地はもちろん、アラブ、アフリカ、また南アメリカなどにもベジタリアン文化は見られません。
 このような限界はありますが、情報や物資の流通に伴い、ベジタリアンのライフスタイルは徐々に広がりつつあります。
以下に、いくつかの国のベジタリアニズムの概略を記します。

日本韓国中国台湾タイ、ベトナムインド
欧州諸国アメリカアフリカ、オーストラリア

日本
[肉食の禁止]
日本では7世紀から19世紀(江戸末期)までの間、公的には肉食が禁止されていました。背景には、殺生を「罪」とし因果応報を説く仏教、中世貴族が産み出した「死穢・血穢」を忌む神道的な観念があります。
肉食禁止令は天武天皇により出されて以来(675年)幾度も発令され、獣肉食タブーの風潮が一般的になります。
しかし時代が下り、武士階級の勃興や切支丹大名への饗応などのため、牛馬食は復活します。鎌倉新仏教を開いた法然や親鸞は肉食を容認しますが、せめて忌日は精進料理を食べましょうと定めたことにより、かえって民間で精進料理は知られるようになりました。曹洞宗の道元禅師は「典座教訓」「赴粥飯法」を著し、日本精進料理の原を作りました。
肉食禁止令は鎌倉・室町期には成文化されますが、秀吉・家康は切支丹禁止令と共に、改めて肉食禁制を出します。綱吉も「生類憐みの令」と共に屠畜の穢れへの服忌を含む「触穢令」を出します。
[薬喰い]
とはいえ魚、鳥、兎、猪などは例外であり、また牛肉や鹿肉も「薬喰い」という方便で食されていました。全国の「諏訪神社」は、病人に栄養を付けさせる場合に限り『鹿食之免』という許可証を与えました。これは穢れやたたりを避けたいという気持ちの表れでもあります。
卵も禁止されており、日本人が卵を食べ始めたのは南蛮貿易以降で、一般的になったのは江戸時代後期からといわれています。
[肉食の解禁]
肉食の解禁、公然化は「開国」(1854)以来です。明治政府は外交政策上、西欧料理を宮中の正式料理に採択し、天皇も牛や豚、羊などの料理を公に食することになりました。「文明開化」と共に一般家庭にも「スキヤキ」など畜肉を使う料理も広まり、戦後はアメリカの食糧戦略も大きく働いて肉料理は広く食されるようになりました。
現在日本ではベジタリアンはかなり少数派ですが、ペスコ・ベジタリアン(魚は食べる)やポゥヨゥ・ベジタリアン(鳥は食べる)は少なくありません。

≪ベジタリアンの著名人≫【政治】上杉謙信、その他。【芸術、芸能】宮沢賢治 、坂本龍一、葉祥明、藤子不二雄(A)、財津和夫、浅茅陽子、喜多嶋舞、フジ子・ヘミング、その他。

韓国
[菜食文化の系譜]
韓国料理といえば焼肉とキムチ。この韓国にも、ベジタリアニズムの流れがありました。
朝鮮半島では、4世紀頃までは動物も食べられていましたが、仏教国の新羅が529年に殺生禁止令を出し、以降百済、高句麗、高麗がこれを引き継ぎ、朝鮮全土は肉食禁止・精進料理的な食文化でした。
[肉食文化の普及]
ところが1321年に蒙古(後の元)が朝鮮半島に侵入し、以後1世紀あまり支配します。遊牧・肉食が主である蒙古の生活風習は、やがて朝鮮半島に浸透して一般化し、仏教国でありながらも肉食禁止の戒律は骨抜きになりました。
14世紀半ばに元は去りますが、肉食の風習は根付いて行きます。さらに14世紀に成立した李氏朝鮮は、儒教を拝し仏教を廃する政策を執ったため、公的にも仏教的な肉食のタブーは消滅しました。
ただし肉魚は高価なため高級料理であり、その料理法に多くの知恵が傾注されました。そして家畜は内臓はもとより、頭から足まで余すところなく利用する食文化が確立し、現在に至っています。その一方で、韓国精進料理(サンチェヨリ)の伝統も現代に受け継がれています。
[最近の傾向]
そして2002年初め、韓国は「菜食ブーム」に。健康志向の風潮が高まる中、テレビ局が相次いで菜食の特集をしたことがその発端です。菜食カフェ(肉もどきなどを使う)なども若い人でにぎわい、「プルン生命・韓国菜食連合」の会員も800人から2,000人に増加したとのことです。
中国、香港
[菜食文化の系譜]
中国では老子の道教(BC7世紀〜)、孔子の儒教(BC6世紀〜)、達磨大師がインドから伝えた禅宗(AD520〜)がベジタリアニズムを広めました。
武帝(AD502〜550)もこれを奨励し、唐の時代(7〜10世紀)には一般家庭にも普及し、寺院素食・宮廷素食・民間素食とそれぞれが発展しました。清の時代には黄金期を迎え宮廷料理二百数十品のうち百数十品がベジタリアンメニューでした。
[肉食文化の普及]
しかしその後のモンゴルの侵入や日本・欧米などの侵入、文化大革命を経て、ベジタリアニズムは衰退。牛肉消費量はここ20年で20倍近くになっています。
香港は素食(精進料理)のお店が多いです。

≪ベジタリアンの著名人≫【政治】孫文、その他。
台湾
[菜食文化の普及]
台湾は、道教や仏教が深く浸透していることもありますが、特に近年急激に「素食」料理が普及しています。至る所に素食レストラン・ファーストフード店や屋台、専門食材店が見られます。人口の6〜9%(150〜200万人)がベジタリアンで、その他の大部分の人も、週のうち何日かは好んで素食を食べています。
ベジタリアン料理の美味しさ、豊富さは世界トップレベルです。台湾素食の特徴は、肉・魚に見立てた、非常に高度な「素肉(肉もどき)」が使われることです(鶏の全姿をかたどったもの、肝臓、腸、ビーフジャーキー、白身魚など、あらゆるものがあります)。
タイ、ベトナム
[菜食文化の系譜]
仏教国タイには、毎年10月に「キンジェー」と呼ばれる精進祭りの期間があります(中国系住民が19世紀から始めた)。タイの精進料理は、大豆たん白などで本物そっくりに肉を模して作る豪華なもので、かつ「トム・ヤム・クン」をはじめタイ料理のほぼ全てのレパートリーがカバーされています。
同じく仏教徒の多いベトナムでは、精進料理は「コム・チャイ」と呼ばれ、祭事の日などに食べられています。町のいたるところに菜食料理店があります。

インド
[菜食文化の系譜]
インドではゾロアスター教、ヒンズー教(の厳格派)、仏教、ジャイナ教などの宗教(BC7世紀〜)の影響により、不殺生や肉食忌避、また菜食によって徳を積むという観念が根付きました。浄・不浄、輪廻転生といった考え方が基になっています。高位カースト(バラモン)階級の人々はベジタリアンですが、全インドでは6割がベジタリアンです。
特に、ヒンドゥー教徒やジャイナ教徒の多い南インド・西インドのかなりの割合の人々はベジタリアンです。これは、穀物、豆、牛乳で栄養を賄うことのできる自然環境であったことも大きな要因の一つです。一方、植民地色の名残の強い地域や観光客の多い地域、および北西のイスラム文化圏や海岸地域では羊肉や魚をよく食べます。

≪ベジタリアンの著名人≫【思想】アショーカ王、ガンジー、タゴール、その他。

欧州諸国
[菜食文化の系譜]
西洋料理といえば肉料理が思い浮かびますが、ベジタリアニズムの流れも古くから存在していました。
ピタゴラス(BC6世紀)はベジタリアンの祖といわれています。AD3〜6世紀のローマ帝国では新プラトン主義によりベジタリアニズムが普及しました。
1847年にはキリスト教団体「バイブル使徒教会」が「イギリスベジタリアン協会」を発足させました。1880年までにイギリスではベジタリアンレストランはポピュラーなものになりました。
[最近の状況]
近年、食肉中の残留薬剤への不安、狂牛病・口蹄疫の流行などによりさらにベジタリアンが増加しました。ベジタリアン人口はイギリスが最も多く、2000年の調査では国民の9%を占めています。スウェーデンでは人口の6%、ドイツでは660万人、オランダ4.4% 、イタリアでは250万人と推定されています。

≪ベジタリアンの著名人≫【学門・思想・政治】ピタゴラス、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、アレキサンドリア、プルタルコス、モンテーニュ、ダーウィン、ニュートン、ヴォルテール、ルソー、スウェーデンボルグ、シュバイツアー、ヒトラー、その他。【芸術・芸能】ダ・ヴィンチ、ジョン・ミルトン、シェークスピア、ラマルティーヌ、ゴッホ、トルストイ、ワーグナー、バーナード・ショウ、ビートルズの全メンバー、オリビア・ニュートンジョン、ボーイ・ジョージ、ミック・ジャガー、レニー・クラビッツ、デビッド・ボウイ、ジュード・ロウ、その他。【スポーツ】ナブラチロワ、イワン・レンドル、その他。

アメリカ
[菜食文化の系譜]
アメリカ料理もハンバーガーやステーキが思い浮かびますが、ベジタリアニズムも進んでいます。
アメリカでは「The Bible Christian Church」(バイブル使徒教会)が1861に「アメリカベジタリアン協会」を設立。また「Seventh Day Adventists教会」(SDA)(1863〜)がベジタリアン食品の開発販売なども行い、ベジタリアニズムを大きく普及させました(シリアルの「ケロッグ」もベジタリアンの健康食品として開発されました)。
1960年以降、健康志向の人や東洋思想に関心のある人を中心にベジタリアンが急増しました。
[最近の状況]
現在では日本で創始された易経陰陽論に基づく「マクロビオテック」と呼ばれる食事法、ゲーリー・ナルによるコンビネーション・ベジタリアンフードの提案、そして米国有数の病院メイヨー・クリニックによる菜食の提案がベジタリアニズムの3大潮流となっています。
IVUの推定によると、2000年現在アメリカ人の2.5%(700万人)がベジタリアンということです(ただし、ベジタリアンを自認する人は人口の5%強、1,500万人)。多くのファーストフード店やファミリーレストラン、公共機関内の食堂でもベジタリアンメニューをチョイスできます。

≪ベジタリアンの著名人≫【政治・学問】ベンジャミン・フランクリン、ラルフ・ワルド・エマソン、ソロー、クリントン大統領、その他。【芸術・芸能】アンソニー・ホプキンス、ウーピー・ゴールドバーグ、シンディー・ローパー、ダスティン・ホフマン、リチャード・ギア、ポール・ニューマン、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、マイケル・J・フォックス、マドンナ、キム・ベイシンガー、リバー・フェニックス、ホアキン・フェニックス、ブラッド・ピット、デミ・ムーア、ナタリー・ポートマン、リブ・タイラー、その他。【スポーツ】カール・ルイス、エドウィン・モーゼス、ルース・ヘイドリッチ、デイブ・スコット、ジョニー・ウァイスミューラー、その他。

アフリカ、オーストラリア
≪ベジタリアンの著名人≫【スポーツ】アベベ、マリー・ローズ、その他。
 
2) 組織・団体
ベジタリアンの組織・機関として、大きなものに「 International Vegetarian Union(国際ベジタリアン連合)」があります。webページでは10ヶ国語で100余りの国や地域に即したベジタリアン情報を提供、世界ベジタリアン会議の開催なども行っています。
英語圏のページでは他にThe Vegetarian Resource GroupVEGETARIAN KITCHENvegetarian timesVegSource.OrgVeggies UniteFATFREEを始め、大小様々な支援webページや団体、食材販売会社があります。
≪参考webページ・書籍≫